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映画基礎講座

【映画制作】〜1day仕事体験 2/7日目〜 映画制作の流れについて

さくらです!今日は【映画基礎講座】インターンシップのまとめ第二弾として、
“映画制作の流れ”をお伝えします。

映画制作の基本的な流れについて、楽映舎なりにまとめてみました。
映画制作の仕事について少しでも理解を深めていただくきっかけや、そのご参考になればと思います。


映画基礎講座 1day仕事体験

映画制作の流れ

映画制作の流れについて

映画制作の流れは、大きく3つに分類できます。

1、企画
2、現場制作・仕上げ
3、宣伝・配給

各セクションにより様々な部署があり、多くのスタッフが作業を進めますが、プロデューサーはこの全ての工程に関わります

 

1、企画

・企画立案
・規模、予算設定
・監督、脚本家選出 プロット作成
・イメージキャストの選定
・スポンサー、出資者を募る

 

企画は、まず世間の話題は何か、どんな作品が売れているかを調査します。それを元に、自分の作りたい映画、伝えたいメッセージをテーマとして提案することが企画です。
テーマを決めたら、まずは企画書を作成します。原作がある場合は、映像化についての権利を交渉します。オリジナルの場合であっても、企画書は必要です。制作の規模を設定し、監督や脚本家に声をかけ、プロットまたはショートストーリーを作成します。さらに、主要な人物についてはイメージキャストを選定します。

企画がスポンサーに通り成立すると、プロットから検討稿へ進めます。この検討稿を元に、主要なキャストの出演交渉に入ります。

 

企画はすぐに決まって動き出すものもあれば、成立までに何年もかかる事例もあり、作品によって様々です。ボツになってしまうケースも非常に多いです。
人気の小説や漫画のように世の中に浸透している作品の場合は宣伝がしやすく、興収の目処が立ちやすいです。逆に、原作のない全くのオリジナル作品は、世間に浸透性がないため、興収の見通しを立てにくくスポンサーやキャストを口説きにくいため、企画の成立に時間がかかり、ボツになる可能性も高いです。

 

映画の企画はたった一人の思いから立ち上がることもありますが、多くの場合はプロデューサー一人だけではなく、プロデューサーとスタッフが集まって企画を練り上げます。

 

また、企画はスポンサーに通ることで初めて成立します。実現性、その成功性がともに期待できるような面白い企画を考えることが映画制作のはじめの一歩です。
面白い企画を作るためには常に世間の様々な動向に対してアンテナを張り、先読みしていく力が重要です。

 

 

2、現場制作・仕上げ

・準備稿〜決定稿の制作
・スタッフィング、キャスティング
・ロケ場所の設定(ロケハン)
・美術打ち合わせ
・衣裳、メイク、小道具合わせ
・オールスタッフ打ち合わせ
・撮影
・編集
・本編集、仕上げ

 

企画が成立し、予算、監督、メインキャストらが決まったらいよいよクランクインに向けて現場が動き出します。
まずは準備稿の作成です。これを元に、制作部が監督や美術監督とセットのプランやイメージを相談し合い、ロケハン(撮影場所の選定)をします。予算、移動距離、天候、設備、周囲の駐車場の有無・・・ロケハンは映像の背景を決める重要なポイントですが、ただ台本に合った演出のしやすい場所を探すだけではなく、様々な条件を考慮しなくてはいけません。
これに並行して、準備稿に基づいて出演者のキャスティングを行います。
ロケ場所の設定、セットプラン、メインキャスト等が決まってきたらロケやセットの各設定や状況に合わせて決定稿を作成します。
さらに、美術打ち合わせを行い、画に映る細部の美術装飾や小道具を決定していきます。これが終わると、続いて出演者全員の衣裳メイクや持ち道具合わせを行い、キャストとスタッフが一丸となってキャラクターを作り上げていきます。
最後に、スタッフ全員が集まり、どういう映画にするかという共通認識を持つための打ち合わせ「オールスタッフミーティング」を行い、いよいよクランクインです。

撮影期間は予算との兼ね合いもありますが、長い作品で2ヶ月、多くは1ヶ月〜1ヶ月半、短い作品ならば1週間程度と、作品の規模によって様々です。
キャスト、スタッフ、各プロダクションやロケーションの協力など、様々な人が作品に関わり、撮影期間の終了でいよいよクランクアップ。編集、仕上げ作業にバトンタッチです。

編集は現場で集めてきた映像データを繋げ、一つの物語として命を吹き込む作業です。全編集に関わっていく監督もいれば、編集はある程度編集部に任せるという監督もいます。
以前は映画はフイルム撮影が主流であっため、編集は基本的にフイルムを扱う専門職として編集部が任されることが多かったのですが、デジタル撮影が主流になってからは自分で編集もする監督が増えてきました。

 

最終的に編集された素材にCGやVFXなどの素材を足して画的な完成となります。これを「ピクチャーロック」と呼びます。この時点で、映画の尺(上映時間)が決定します。
ここまでの編集には編集用に圧縮した軽いデータを用いていますが、ピクチャーロックされるとこの編集データをラボで撮影時の生データに置き換えていきます。これを本編集と言います。
これに、カラコレまたはグレーディングと呼ばれる色調整の作業が入ります。
例えば同じ場面について、複数のカメラで撮影した場合や、あるいは別日に撮影した場合、日照状況等の微妙な変化により、微妙に画面の色が異なることがあります。そんな画の差異を整え、場面に統一感を与えます。ここで、日中に撮影されたシーンを夕景に変えることもできます。作品としてのトーンを決める作業がグレーディング作業です。

 

映画は、映像と音が合わさってできています。
編集された映像に合わせて整音(D)、音楽(M)、音響効果(E)の作成をします。整音とは、現場で録音したセリフ(Dialog)の音を聞き取りやすく整える作業です。場合によってはアフレコを行います。このように、音を表現するためにDMEのタイミングやレベル(音量)を調整して映像に音を入れ込む作業をダビングまたはMIX(ミックス)と呼びます。
音が入ってようやく映画の完成です。
この後、完成した作品はキャスト、スタッフの最終確認をするための初号試写が行われ、納品となります。

 

ここまでの編集からダビングまでを”仕上げ作業”と言います。
この編集、本編集、ダビングは映画の制作の中でも非常に重要で面白い作業です。

 

3、宣伝・配給

・宣伝
・配給

 

映画が完成するといよいよ宣伝部にバトンタッチです。
どんなに面白い映画を作っても、宣伝効果がなく、作品の面白さや公開日を誰も知らなければ映画の興行は失敗に終わってしまいます。失敗に終わらせないためにも、宣伝部は非常に重要なセクションです。
様々なスポンサーとのタイアップ企画や、SNSを使った撮影現場の制作宣伝、舞台挨拶、など様々な形で映画の魅力を幅広いお客さんに伝えていきます。
宣伝とは「宣しく伝える」ことです。映画の魅力を熟知していること、何と言ってもその映画を大好きであることが大前提です。
多くの人に伝え、劇場に足を運んでもらうことが宣伝の要です。幅広い宣伝が行われていないと上映館も少なくなります。幅広い宣伝をすることで、より多くの映画館で上映してもらうのはとても大事なことです。そのため、制作費のかかる作品ほど宣伝費も高くなっていきます。

 

そして映画館と交渉して上映すること配給と言います。映画を上映する上では、配給も非常に重要です。多くの劇場で上映してもらうことが映画の収益につながり、そのためには配給会社が非常に重要と言えます。

 

面白い企画を上げ、面白い映画を作り、宣伝効果を上げ、多くの劇場に配給することが、映画プロデューサーとして一つの作品に関わる上で大事なことです。

おわりに

映画制作というと、ついつい撮影現場が全てのように考えてしまいがちですが、実際には企画から仕上げ、宣伝配給までという全体の膨大な時間からすると、撮影期間というのは非常に短いものです。
映画の面白さは、才能を持った多くのクリエイターが集まって、作品のクオリティに直結する重要な役割を担い、互いに響きあって一つの物語を作り上げることにあります。
観る人に夢やメッセージを届け、自分では経験できない人生の疑似体験をさせ、自分とは異なるものへの理解を深めるなど、様々な想いを伝えられる映画を作れることが、制作サイドから見た映画の魅力の一つです。享受するだけでなく、発信する側に立てること、世界中の人や自分の心をゆさぶれることが、観客と作り手の大きな違いです。

 

0/7 プログラム
1/7 プロデューサーについて
2/7 映画制作の流れについて
3/7 楽映舎について
4/7 映画の様々な仕事について
5/7 企画、脚本、予告について
6/7 制作現場について
7/7 映画の見方、映画祭について