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映画レビュー

NOPE

財布に3000円しかないのにIMAX上映で見てパンフまで買ってしまい、すかんぴんのさくらです。
久々にこんな衝撃的な映画体験をしてしまいました。

今日は先週金曜日に公開されたジョーダン・ピール監督の最新作「NOPE」をレビューします!

「NOPE」
日本公開日:2022/8/26
監督:ジョーダン・ピール
キャスト:ダニエル・カルーヤ
キキ・パーマー
スティーブン・ユアン

あらすじ

舞台は南カリフォルニア、ロサンゼルス近郊にある牧場。亡き父から、この牧場を受け継いだOJは、半年前の父の事故死をいまだに信じられずにいた。形式上は、飛行機の部品の落下による衝突死とされている。しかし、そんな”最悪の奇跡”が起こり得るのだろうか?
何より、OJはこの事故の際に一瞬目にした飛行物体を忘れられずにいた。牧場の協同経営者である妹エメラルドはこの飛行物体を撮影して、”バズり動画”を世に放つことを思いつく。やがて起こる怪奇現象の連続。それは”最悪の奇跡”の到来の序章に過ぎなかった……。
「NOPE」公式サイトより)

見どころ① 芸術的演出、脚本、演技

ジョーダン・ピール監督の作品はいずれも精密な伏線がお見事ですが、NOPEは芸術の域だと感じました。映画を観ている時に次々回収されてゆく巧みさに舌を巻いた後も、何日も何日も「あそこはああいう意味があったのか」「あれはあれにかけられていたのか」という新しい発見を得たり、自分でも気づくことのできなかったオマージュやパロディに誰かの考察を読んで気づかされるなど、視聴後の余韻、熱気がとどまることを知りません。ものすごい細密かつ鮮やかな伏線の数々は、まさに瞬き厳禁。全集中で画面に映るものの「意味」を1つ1つ追っかけていくと、次々解き明かされていくその答えに興奮と快感があります。あれこれ言いたくなってしまうのですが、全てがネタバレになってしまうので何にも言えない歯がゆさ・・・!!とにかくどうか観てください!としか!
セリフよりも演出と演技で語られる作品のテーマ、そしてキャラクターの心情、恐怖に、何度も心を奪われます。特に主人公のダニエル・カルーヤ氏の演技は、表情に大きな変化のないままにその精神性の変化が一目で分かり、巧みさに驚きました。

見どころ② 高いエンターテイメント性

ジョーダン・ピール監督の作品は「ゲット・アウト」や「アス」といった定番物しか観ていないのですが、がっつりホラーと構えて観ると今回は期待を斜め上に裏切られます。今作は圧倒的な「エンターテインメント」ホラー。「アス」よりもはるかにエンタメ色が強く、ホラーが苦手な多くの方にも楽しめる内容となっています!痛そうなシーンが全くない訳ではありませんが、これまでに比べると比較的マイルドな表現で、心臓に悪いキリキリと張り詰めた緊張もそんなに多くありません。万人に観て欲しい。そして語り合いたい。そんな美しく素晴らしい映画です!終盤にかけての盛り上がりが凄まじく、とにかくボルテージがどんどんぶち上がっていきます。ある意味王道、しかしあらゆる面で著しく邪道。思わず「かっこいい…」とつぶやきが口から漏れてしまうほどの爽快な映画です。
そして何と言っても画が美しくてかっこよくて、エンドロールに入るときにはこの映画からもう離れたくないとしがみつきたくなるような感動がありました。夜の美しさと恐ろしさ、相対するビビットな色彩、その配置、全てが刺さりまくってそれだけで感動してしまいました。
撮影監督には『ダンケルク』でアカデミー賞撮影賞にノミネートされていたホイテ・ヴァン・ホイテマ氏が入られていますが、この映画における「映すこと」の重要性を考えると、素晴らしい仕事だったとしか言いようがありません。
また、今回は非常に音楽が効果的に使われていましたね!思わずサントラリストを作りたくなります。

おわりに

映画を通じ、社会に鋭く切り込みを入れて行くジョーダン・ピール作品ですが、今作は「見ること」「見られること」という視線をテーマに投げかけています。そこには生き物の根源的恐怖と他社性、支配性があると同時に、その果てにある人間社会も強く意識させられます。映画を観終わった後もずっと、あのシーンはああいう意味だったのかな〜と新たな気づきを得て何度も見返したくなっちゃいます。そしてそれを、「映画」という「観る」「観られる」表象で我々が享受すること、この華麗さ、お見事としか言えません!
あと、所々に小ネタがあって、特に日本の方は見ていてクスッとなるシーンも多いのでは。さくらは全てにきゃっきゃしちゃいました。しかし、なぜビール・・・