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映画レビュー

E.T.〜製作40周年!不朽の名作〜

スピルバーグが三度の飯より好き好き大好きさくらです。

今日は大好きなスピルバーグの作品の中でも特に特別な映画「E.T.」のレビューを上げたいと思います!
製作40周年。今日は丸の内ピカデリーでの特別上映&ゲストトークがありますね〜

「E.t.」(1982)
日本公開日:1982/12/4
監督:スティーブン・スピルバーグ
キャスト:ヘンリー・トーマス
ドリュー・バリモア
ディー・ウォレス

あらすじ

10歳の少年エリオットは庭で不思議な生き物と出会う。彼は宇宙からやってきたE.T.。エリオットは仲間とはぐれてしまったE.T.を戻してあげようと尽力するが__?!

 

 

見どころ ①絵について

スピルバーグの好きな作品というと、1位に本作をあげる人が一番多いんじゃないでしょうか?さくらにとっても特別な作品です。素敵なのは、公開当時から40年も経ち、作品の見方が「ノスタルジック」を伴うようになってもなお、新たなファンを獲得し続けていることです。見るたびにどんどん好きになっていく、不思議な魅力のある作品です。
最初のカットからもうスピルバーグ全開を感じちゃいます。今思うとですけど。「未知との遭遇」「ジュラシックパーク」とかの、あの真っ暗闇に、青白い強すぎる光、照らし出される黒いシルエット。私はこれだけでもうスピルバーグを感じて骨抜きになっちゃいます。実態は見えないんですよ。そこを動く影が怪しげで怖い。最初に出てきたのはだったと思います。これが意味深でまた怖い。何かを追ってる謎の人物。鍵をぶら下げている。捕まえて閉じ込めようとしてる?きっと悪いやつなんだ!と、シンボリックな絵を一枚置くだけで視聴者に想像のヒントを与え想像力を膨らませ、作品にのめり込ませる力の強さに何度見ても脱帽。すごい。このころのスピルバーグの、「そのものは見せない形で煽る」描写が大好きです。直接的でないのに、伝えたいものが雄弁に伝わる面白さは、真にかっこいいものだと思います。
それにしてもE.T.の造形って何度見てもすごいなと思います。正直、10歳の頃リアルに出会っていたらファーストインパクトはシンプルに「気持ち悪っ」が先行していた自信があります。そのくらいいただけないデザイン。グレイタイプでもタコ型でもない。何?というデザイン。だるだるの皮膚、土っぽい茶色、潰れた鼻に長すぎる首・・・というかそもそもフェイスライン・・・なんというか、正直デザインが一ミリも子供、もとい人間受けしないんですよ。きっとさぞかし重力の重い星から来たんでしょうと思われる下に潰れた重心も。10歳の子供が喜んで友達になりたいデザインではないところがすごいです。しかも極めて独創的。まさに「初めて出会う生き物」。はいはい、宇宙人ね。というよりも、何これ?!まさか・・・?という驚きと期待を誰もが感じる秀逸なデザインじゃないでしょうか。
そして映像に関して言うと、スピルバーグ作品全部に言えることですが、この作品もとにかくキラーショットが多すぎる!映画を観てない人まで思い浮かべることができると思われるシーンだけでも、月をバックにE.t.をカゴに乗せた少年がチャリで飛んでいる絵と、人間とシワシワの生物が人差し指を付き合わせて接触面が光っている絵と、2つもあるのがまずすごいことだと思います。が、これだけではないのです。冒頭の鍵の男のシルエット含め、一度見ると忘れられない「絵」が満ち満ちに詰まっています。E.T.との出会い、チョコ、E.T.がリビングで力を発動させるところ、妹のおもちゃになるところ、後半はネタバレになってしまうので極力避けますが、さくらの最も好きなシーンだけご紹介!カエルに囲まれながら同級生を踏み台にして成し遂げるキスシーンです!こんなロマンチックなシーンもあったっけ?!と初見から数年後に見返して驚いたほどにさりげなく、何の脈絡もなく突然挿入されるロマンスシーン。改めて見るとめちゃくちゃで本当に可愛くって大好きなシーンです。

本作の見どころ ②テーマについて

異文化交流の難しさ、楽しさ、暖かさ。友情。そして愛の形。やっぱり何度観てもこれに尽きるような気がします。自分と異なる存在と心を通わせることがどれほど難しく、思いやりに溢れ、ロマンチックなことか。そして、自己と同一化していき内面化してしまうことを危険視し、互いを尊重し合うための別れを選ぶ美しいラストはもはや哲学的ですらあります。なんてことを子供の時は一切考えずに観てたんですけど、E.T.がペットから友達になり、自分そのものになり、そしてまた「別の存在」として尊敬できる存在へと変わっていくのは何となく感じられて、不思議な感じがしました。SFファンタジーであり、奇抜なビジュアルを伴いますが、そこに描かれているのは普遍的な人間のテーマです。
そして、あの「鍵の男」にすら彼のテーマがあるように、登場人物一人一人が主題を背負っています。だから観る人は観るたびに新たな気づきを得ることができますし、観る人によって異なるテーマ性を受け取ることもあるでしょう。素敵なのは、決して「子供だけ」の物語ではないことです。当然子供をメインターゲットとしながらも、かつて子供だった親に対しても暖かく寄り添ってくれてはにかむスピルバーグ。これが、老若男女の誰にもハマるポイントであると同時に、子供の時にエリオットの視点で見たものを数十年後にキーマンの視点を持って見ることができるという、まさに「不朽の名作」たらしめているポイントとも感じられます。シンプルで分かりやすく、それでいて深く広がりのあるテーマ性。スピルバーグの全映画に通じているのではないでしょうか。

 

おわりに

3年前の冬、ある動画が公開されました。
37年越しにE.T.とエリオットが再開する映像です。ネット上に公開され、たちまち大反響が上がった映像です。監督はスピルバーグではありませんが、もちろんスピルバーグは了承済み。E.T.ファンにとっては賛否両論あるみたいですが、さくらにとってはめちゃくちゃ感動でした。「こういう未来も”アリ”なんだ」とスピルバーグが言ってくれたことが、ものすごく嬉しくて何度も何度も見ちゃいました。
ぜひ、E.T.を見てハマった方は、この映像も探してみてください!