映画「窓辺にて」観てきました
渋谷に会社があって良かったさくらです!
水曜日、映画「窓辺にて」を観てきました〜。
監督のSNSを拝見して会社から爆走しました。行けて良かったです。
ということで本日は先週金曜日に公開された今泉力哉監督の最新作「窓辺にて」をレビューします!
「窓辺にて」 日本公開日:2022/11/4 監督:今泉力哉 キャスト:稲垣吾郎 中村ゆり 玉城ティナ |
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あらすじ
フリーライターの市川茂巳(稲垣吾郎)は、編集者である妻・紗衣(中村ゆり)が担当している売れっ子小説家と浮気しているのを知っている。しかし、それを妻には言えずにいた。また、浮気を知った時に自分の中に芽生えたある感情についても悩んでいた。ある日、とある文学賞の授賞式で出会った高校生作家・久保留亜(玉城ティナ)の受賞作「ラ・フランス」の内容に惹かれた市川は、久保にその小説にはモデルがいるのかと尋ねる。いるのであれば会わせてほしい、と…。
(「窓辺にて」公式サイトより)
見どころ① 稲垣吾郎×今泉力哉監督
子供の頃から好きだった番組にたくさん出ていらしたため、個人的には大変に思い入れの深い吾郎ちゃん…楽映舎では映画「十三人の刺客」で見事な悪役を演じていただきました。今回は打って変わって、現代を生きる優しいおじさま役です。
滲み出るカリスマ性とともに、何を考えているのか分からないいミステリアスな雰囲気というか、世界から3cmくらい浮いているような雰囲気?が子供の頃からずっと大好きだったのですが、ここ数年大きな疑問も感じていました。
私はこんなに大きくなったのに、稲垣さんは年を取っていないということ。どういうことだろうとずっと不思議だったんですが、この映画を見てようやくわかりました。稲垣さんもちゃんと同じ時間を生きていたようです。ただし歳を取らないわけではなく、とても美しく歳を取られる方だったようです。
で、そんな稲垣さんが繊細な恋愛映画を多く撮られている今泉監督映画の主演というので、公開前から大変楽しみにしておりました。
不倫物と聞いて失礼ながら色気のある稲垣さんらしさやある種の危うさも感じていたのですが、ものすごく暖かくユーモラスでとても愛しい映画でした。勝手に稲垣さんが浮気するものかと思って見てしまったんですが、むしろ稲垣さん演じる市川はとても淡白な男性で、それがとても今の稲垣さんにぴったりで、思わずため息が漏れました。感じたことを全て書きたくなってしまって危ないですね。市川という男が魅力的に映らないと破綻してしまうような作品に見えたのですが、(というよりも全てのキャラクターがこのものすごいバランスの上に美しく立っている)、市川さんが魅力的なのはそれが稲垣さんだからと感じられるような、そんな素敵な稲垣さんをじっくり堪能できる作品です。
特にあの市川の独特な言葉遣いや、愛情深いのに淡白なお人柄は、まさに稲垣さんにしかできない姿で、また改めて稲垣さんの魅力に触れることができました!
見どころ② 美しい空気感と華麗なる脚本
とにかく光が美しくって…画面を通じて暖かさまで伝わってきそうな、そんな日差しの暖かさ、眩しさがいつも窓辺の情景をものすごく美しく見せてくれます。日差しの暖かさ、明るさが非常に美しいからこそ、ままならない関係もぐずぐずの心情も愛おしく見えるのかもしれません。映るもの全てが、本来美しくないはずのものまで美しく見えて、彼らにはこう見えてるのかなあと思うと、愛しいキャラクターたちが美しい世界を生きられていることに安心して癒される映画でした。
そしてオリジナルで書かれた脚本の華麗さ。非常に丁寧にキーワードが貼られていて、その一つ一つがそれぞれの愛の形に結びついていくのがあざとさすら感じるほどになんとも華麗で、冒頭から2時間釘付けになってしまいました。あのシーンのアレも、あの時のあれも、全部愛だったんだな〜と鑑賞後にも思い返して浸りたくなるような作品です。
また、不倫というややもすると生臭いような題材でありながら、登場人物全員がどこかユーモラスで可愛らしく、等身大の人間味があって憎めないどころか愛おしさすら感じられました。セリフを含めたキャラクター造形の見事さに敬服します。行動だけを思い返すと本当にダメな人もいたはずなのに、なぜかみんな明日も明後日もずっと幸せでいてほしいなと感じられるくらいとても好ましいキャラクター達でした。特にもう一組の不倫カップルの不倫相手なつちゃんのどうしようもない愛らしさにさくらはノックアウトです。奥さんと浮気相手、どちらも心から本気で愛しちゃう男性の気持ちがちょっとわかってしまいました。だからこそなつちゃんの言い分も男側の言い分も、分かってしまって…。決定的な瞬間が無いので安心して観ていられたのですが、後から考えるといろいろと不安で怖くて悲しい関係が、とにかく茶目っ気たっぷりに描かれているのがとっても魅力的です。
おわりに
派手なドラマはない、穏やかで静かに語られる作品でありながら、だからこそ挙動やセリフの一つ一つが見逃せない、今泉監督の映画は改めて劇場で観たい作品だと感じました。外界の雑念の入る隙もない暗い箱の中で没入して観ることに大きな価値のある作品だと思います。
あと、不思議と映画を観ている瞬間、観終わった直後よりも、徐々に時間が経ってからさらにじんわりと感動が広がって、「いい映画を観た」と浸れる映画だなと感じています。
ぜひ皆様も劇場で、観てください!
そのあとはもちろん、喫茶店へ・・・