楽ブログRakufilm Laboratory
   
   
映画レビュー

リメンバー・ミー 〜家族を見つめ直す〜

偶然にも日本で公開したのは春。お彼岸の時期でした。さくらは家族のお彼岸のお墓詣りをこの映画のチケットを予約していたために断り、鑑賞後に大変な後味の悪さを覚えたものです。
小ネタはさておき、今日は金ローにあやかりディズニーピクサーの名作「リメンバー・ミー」のレビューをお届けします。

「リメンバー・ミー」(2017)
日本公開日:2018/3/16
監督:リー・アンクリッチ
エイドリアン・モリーナ
キャスト:アラナ・ユーバック
ベンジャミン・ブラット

あらすじ

ミュージシャンを夢見るギターの天才少年ミゲル。だが、彼の一族は代々、音楽を禁じられていた。ある日、ミゲルは先祖たちが暮らす“死者の国”に迷い込んでしまった。日の出までに元の世界に戻らないと、ミゲルの体は消えてしまう!そんな彼に手を差し伸べたのは、陽気だけど孤独なガイコツ、ヘクター。やがて二人がたどり着く、ミゲルの一族の驚くべき“秘密”とは?すべての謎を解く鍵は、伝説の歌手が遺した名曲“リメンバー・ミー”に隠されていた…。
Disney公式より)

 

 

見どころ ①死者の世界

死者の世界って不思議と映画の中ではカラフルな印象があります。う〜ん、「ラブリーボーン」や「コープス・ブライド」のせいかもしれません。中でもこの「リメンバー・ミー」は格別です。
舞台となるメキシコは死者の祭りをモチーフにしたデザインがとっても可愛い
光と色彩にあふれ、死者の世界なのに「生き生きとした」活力に溢れている。フリーダ・カーロを初めに、生前の才能と熱意を引き継ぎ、「自分」という存在を謳歌している。
この作品に愛を感じるのは、制作者の、「自分の大切な人たちにとって、世界がこうあってほしい」という望みを感じるからだと思う。
例えばこの作品に出会った後、よほど悪質なものではない限り、多少の霊に会っても「誰かの大切な人だ」と恐怖を緩めることができるような気さえした。
誰もが避けて通ることのできない「死」だからこそ、あえて身近なものとして見つめ直し、その距離の近さや、大切にしたいものを考え直すきっかけとなる作品だ。

本作の見どころ ②メッセージ

家族の絆を描いた作品としては、ディズニー屈指と言えるかもしれない。え、インクレディブルファミリーですか?あちらはいわゆる「核家族」で、父の父やその母など、「血族」としての家族を描いているという点で「リメンバー・ミー」は異なります。物語ではよくお父さんという存在は絶対的存在として描かれるが、絶対的存在としての父親以上の存在、「死者」である家族、その家族の軋轢や愛が丁寧に描かれている。
家族の愛が一様に無条件に注がれるものではないところも素敵だ。どんなに大人に見えても、誰もが誰かの「子供」で、あるいは「妻」や「夫」で、そうして今自分があるのだという血脈の奇怪な面白さや温かさに包まれた作品だと思う。
実際には、現実社会で家族ほど難しいものはない。多くの人が「家族」「血縁」に少なからず嫌悪を持っていると思う。そんな時、あっ忘れられたら縁を切れるんだなというのは逆にポジティブなメッセージにも受け取れた。有名人ほど死者の世界でも生き続けるという仕組みは一見妙だが、「家族」でなくてもいい、誰でもいいと思うと、それは十分だと感じられる。

 

おわりに

光る花びら一枚一枚のグラフィックの美しさもさることながら、楽曲もいいですよね。「リメンバー・ミー」はもちろん、「ウン・ポコ・ロコ」も大好きです。
コロナもありお墓まいりやお盆がなかなか躊躇されるところではありますが、改めて家族を偲ぶ心だけは大切にしたいなと思える映画でした。