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映画レビュー

パプリカ 〜絶世の悪夢〜

今日の「映画天国」はなんと今敏監督の名作「パプリカ」!ということで、パプリカのレビューを書いてみたいと思います。

「パプリカ」(2006)
日本公開日:2006/11/25
監督:今敏
キャスト:林原めぐみ
江守徹

あらすじ

天才科学者 時田浩作 の開発した”他人の夢に入り込める装置”通称”DCミニ”が研究所から盗まれた!夢探偵パプリカことサイコセラピスト千葉敦子は、犯人を探すべく夢の世界へ入り込む。

 

 

見どころ ①夢の世界

オープニングムービーからとてつもなく可愛くて、この世界をずっとみていたいと強くときめいた作品。
個人的には「夢の世界」を描いた作品は名作が多いと勝手に思っているのですが、単純に私の好みかもしれません。なんにせよ、この「パプリカ」もとても素晴らしい映画だ。

今敏監督のリアルな造形が、非現実の夢の世界の薄気味悪さ、グロテスクさをこれでもかというほどに引き出している。映画「インセプション」にも影響を与えたと言われている(見れば誰でもどのシーンかわかるはず!)美しい世界観「夢」の世界のリアリティがとにかく凄まじい。この三次元の世界では「あり得ない」動き、「存在しない」動きを非常にナチュラルに描くことで、実際に夢と現実との境界が曖昧になっていく感覚に捕らわれる。リアルタッチのアニメーションについて、なぜ実写でやらないのか?と疑問に思うことがある。特に今敏監督の映画は、超ハイクオリティアニメーションだが、アニメらしくないリアルな造形やストーリー、パース、カメラアングルに到るまで、実写映画のような雰囲気を強く感じる。しかしこの「パプリカ」は、アニメーションだからこその魅力を持っている。キャラクター造形、肉の動き、無機物の有機物的動き、歪み、カラフルで軽薄な世界のリアリズム。やはり「アニメーション」だからこそ、価値があると感じられる。
華やかな悪夢の魅力を、ぜひかぶりつきで楽しんでいただきたい。

 

 

本作の見どころ ②曲

映画「パプリカ」を語る上では、絶対に外せないポイントの一つが何と言っても「音楽」。
音楽をてがける平沢進氏の楽曲が、全て世界観にぴったりだ。不気味なパレードの曲がなぜか不思議なほど胸を打つ。摩訶不思議な魅力の音楽にが、まさにあの世界そのものを体現していると言える。特にあの鮮明に記憶に残る「パレード」のシーンは曲と映像は不可分なものだと強く感じられる。
エンディングテーマも不思議だ。ゆっくりと夢から目覚めていくような感覚を味わえる。素晴らしい曲なので、是非エンドロールの最後まで、最後の一音までしっかり聞いて楽しんでいただきたい。

 

おわりに

何度見ても驚いてしまうのが90分という短さ!テンポの良さに衝撃を受ける。1シーン1シーンは非常に丁寧に描かれていてわかりやすいのに、ストーリーは巧妙で要素が多く、常に頭を使う構造。体感時間は120分以上あるが、とてつもなく面白い。何度見ても脚本の巧みさに舌を巻いてしまう。

なかなか地上波されることのない伝説的名作なので、是非このチャンスに「パプリカ」をお見逃しなく!