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映画レビュー

バットマン (1989)〜新作公開前カウントダウン企画 その1〜

月夜に悪魔と踊ったことがない さくらです!
大大大好きなDCの、大大大好きなヒーロー バッツィこと「バットマン」の新作が来る3月11日公開!ということで、勝手にカウントダウン企画を、誠に勝手ながら、やらせていただきます。

つい先日偶然にもティム・バートン監督の「チャーリーとチョコレート工場」をレビューいたしましたが、今日は同監督による1989年公開の映画「バットマン」をレビューいたします。

「バットマン」(1989)
日本公開日:1989/12/23
監督:ティム・バートン
キャスト:マイケル・キートン
ジャック・ニコルソン

あらすじ

悪がはびこるゴッサム・シティーで、次々と悪者を退治するヒーロー、バットマン。その正体を突き止めようと、報道カメラマンのビッキーは、記者ノックスを引き連れ取材を開始する。一方バットマンは化学工場を襲った悪者ジャックと対決し、ジャックは廃液の毒の中に落ち死亡……したかに思われたが、ジョーカーとして蘇る!真っ白な顔に不気味な笑みがはりついたジョーカーは、バットマンへの復讐に燃えるのだった。
WB公式より)

 

 

見どころ ①ダークポップな世界観!

バットマンてなんかたくさんあるよね?と思っているみなさん、そうです。たくさんあります。肥沃な大地バットマンの世界へようこそ。コメディからシリアス、ダークからポップ、チープからゴージャスまでなんでもあります。中でも有名なのがこのティムバートン版「バットマン」シリーズとノーラン版「ダークナイト」三部作、近年ではベン・アフレックがコミックそのままの完全な肉体美のバットマンを演じた「ジャスティスリーグ」のユニバースあたりではないだろうか。
最新作が話題になっているようにバットマンの俳優も当然話題になるが、主演以上に話題をかっさらうのが「ジョーカー」の演者だ。ここまで「ジョーカー」が話題になった元にあるのがこの「バットマン」(1989)における名優ジャック・ニコルソンのジョーカーの魅力だろう。
ティム・バートンの「バットマン」は先述の指標で言うとダーク・ポップの極地にいる。コミックからそのまま飛び出してきたかのようなばかばかしいほどにコミカルで愛らしい痺れるデザイン。そして最狂に悪質なジョーク。夜の遊園地を想像した時のようなうすら怖さが魅力的な世界において、この「悪質なジョーク」の”キング”がジャック・ニコルソン扮する「ジョーカー」だ。圧倒的なそのビジュアル、背景、セリフ、動き、キャラクター!なんでもありにしてしまうめちゃくちゃさ!美人が好きで美術品を歯牙にも掛けないという小悪党っぷりも目立つのが本作の特徴だ。ティム・バートンはいつもこの圧倒的な一つの世界観の構築が実に見事だ。イメージをすっかり刷り込まれてしまう。ジャック・ニコルソンのジョーカーというイメージを誰がどうやって超えられるか、常に話題になってきたのだ。
さて、つっこんでおきたいのはとにかくこの世界観!も〜全部がたまらなくキュート!なのにダークでおしゃれ!ジョーカーの派手な色彩も、人をおちょくる内面も、パレードのバルーンのデザインも、例の真珠のネックレスの玉が落ちる演出も!あらゆる面で夢中になれてしまう圧倒的な世界観が途方もなく魅力的なのが本作だ。

本作の見どころ ②ジョーカー

思い余って見どころ①でもかなりフライングしてしまったが、キャラクター造形がビジュアル含めてとにかくお見事。
ジョーカーに至るまで」のジョーカーがちゃんと描かれており、もちろんバットマンがバットマンに至るまでも描かれている。ジョーカーとバットマンの「因縁」も見られて熱い始まりだ。ジャック・ネイピアがジョーカーに至る悲惨さ、小悪党っぷり、そしてその後のいかれっぷりが見事だ。
そしておしゃれで怖い。「ペンは剣よりも強し」という返しや、「月夜に悪魔と踊ったことがあるか?」という誘い文句など、痺れる言動が多い。
ブルース・ウェインの生い立ちがかなり固定化されている一方で、ジョーカーには複数のルートがあるのがバットマンの世界の面白いところだ。シリアス路線とは異なりかなりファニーなジョーカーが見られるのが今作。彼だけがコミックキャラではとんだコメディになってしまうが、「世界」そのものがコミカルなためにコスプレにも痛いキャラにもならず見事にリアルな存在としてのジョーカーだ。彼の世界全体をおちょくる態度、おもちゃを使うスマートさ、可愛さはいまだにジョーカーのシンボリックなイメージだ。

 

おわりに

ほとんどジョーカーのお話に終始してしまったが、本当にティム・バートン版はヴィランの造形が神がかっている。さくらにとってはヴィランの魅力にどっぷり浸かる発端の一つに間違いなく本作があるだろう。ぜひ、本作を通ってめくるめくアメコミ「ヴィラン」の世界にはまってほしい。