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映画レビュー

ハウス・オブ・グッチ 〜華麗なる一族の崩壊〜

先日リドリー・スコット監督最新作「ハウス・オブ・グッチ」をよう〜〜やくみることができました!さくらです。
僭越ながらレビューを書かせていただきます。

「パプリカ」(2006)
日本公開日:2022/1/14
監督:リドリー・スコット
キャスト:レディ・ガガ
アダム・ドライバー
アル・パチーノ

あらすじ

貧しい家庭出身だが野心的なパトリツィア・レッジャーニ(レディー・ガガ)は、イタリアで最も裕福で格式高いグッチ家の後継者の一人であるマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)をその知性と美貌で魅了し、やがて結婚する。
しかし、次第に彼女は一族の権力争いまで操り、強大なファッションブランドを支配しようとする。
順風満帆だったふたりの結婚生活に陰りが見え始めた時、パトリツィアは破滅的な結果を招く危険な道を歩み始める…。
「ハウス・オブ・グッチ」公式サイトより)

 

 

見どころ ①主演キャストの演技!

名門グッチ家の後継者マウリツィオ・グッチを演じるアダムドライバー、そして彼を虜にしてグッチ家をかき乱すパトリツィアを演じるレディ・ガガの演技が素晴らしい!
レディ・ガガは自伝とも言える映画「アリー スター誕生」でも主演を勤め見事な演技力を発揮していたが、今回のガガは自身とは時代も国もキャラクターも全く異なる魅力的な悪女を演じた。
パトリツィアは映画中盤から夫を操りグッチ家をぐずぐずに崩壊させていくいわゆる”悪女”になってゆくのだが、決してキャラクター化した通り一遍の悪女ではない。
マウリツィオとのロマンチックな出会いの場面から結婚まで、とにかくチャーミングで魅力溢れる女性を演じている。華やかだが飾らない率直さと、ちょっと強引な強かさが、愛する人に向けられる姿は非常に愛くるしい。彼女の笑顔に「特別感」を感じる、そんな魅力的な女性だ。そしてその強引さ、強かさが後半に行くにつれて自己顕示欲とともに膨れ上がり、彼女をピリピリとした感情的な姿にも変えて行く。そこに、キャラクター化されたいわゆる”悪女”のイメージではなく、欲しいもののためにもがき続ける懸命な人間の姿をリアルに感じ取ることができるのだ。
そしてみんな大好きアダム・ドライバー。さくら個人としては、複数の仮面を見事に演じ分けるという点に関しては彼に並ぶ俳優はいないのではないかとすら感じている。(往年の名優らをのぞいて。)不思議なのは、彼が決していわゆる”2枚目”俳優ではないのに、ものすごく色気たっぷりに見えることだ。今回彼が演じたマウリツィオは、初めは積極性がなく落ち着いた、真面目で礼節があり、そのくせちょっとお茶目な好青年だ。この垢ぬけきらない姿がまず大変チャーミングだ。振り回されながらも、彼女への愛に溢れた様子に胸がときめく。しかし中盤以降、主体性を取り戻した彼は野心と自信にみなぎる色男の魅力を見せ始める。この人間的変化が実に見事だ。

 

 

本作の見どころ ②画面の隅々まで美しい・・・!

グッチ家、調度品、お洋服、靴、景物の全てに至るまでがものすごく美しい・・・!ごてごてした華美でド派手な美しさではなく、グッチ家の暗雲を示すような落ち着いた色調がブランドの拡張高さにも通じて見える。「血塗られたお家争い」というややもすると通俗エンタメ的題材でありながら、一つの芸術作品として成り立っている。このバランスが実に見事だ。ポップな曲を用いて可愛らしく胸踊るような演出もあれば、静謐で厳格な空気をまとった場面もある。いずれにしても、全編を通じ、非常に美しい作品だと感じた。

 

おわりに

ブランドを扱った映画は数多くあるが、その題材のバリエーションの豊富さは面白い。YSL、サンローラン、ココ・シャネル、マックイーン、ちょっと外れたところだとマリメッコなども映画になっている。半生を描きその苦悩を描くもの、恋愛に焦点を当てるもの、様々だ。
ぜひ、いろいろな作品を見比べてみて欲しい。