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映画レビュー

ドライブ・マイ・カー〜最後の1秒まで目を離せない179分〜

盛大にガードレールに車をこすって以来運転が怖い さくらです。

本日は第74回カンヌ国際映画祭脚本賞ほか四冠
第79回ゴールデングローブ賞 非英語映画賞受賞
と世界中で注目と喝采を浴びている映画「ドライブ・マイ・カー」のレビューです!

「ドライブ・マイ・カー」
日本公開日:20021/8/20
監督:濱口竜介
キャスト:西島秀俊
三浦透子
霧島れいか

あらすじ

舞台俳優であり演出家の家福は、愛する妻の音と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう――。2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。さらに、かつて音から紹介された俳優・高槻の姿をオーディションで見つけるが…。
喪失感と“打ち明けられることのなかった秘密”に苛まれてきた家福。みさきと過ごし、お互いの過去を明かすなかで、家福はそれまで目を背けてきたあることに気づかされていく。
人を愛する痛みと尊さ、信じることの難しさと強さ、生きることの苦しさと美しさ。最愛の妻を失った男が葛藤の果てに辿りつく先とは――。登場人物が再生へと向かう姿が観る者の魂を震わせる圧巻のラスト20分。誰しもの人生に寄り添う、新たなる傑作が誕生した。
「ドライブ・マイ・カー」公式サイトより)

 

 

見どころ ①村上春樹×濱口竜介

村上春樹独特の世界観!などと、ハルキストでもない人間が言うのもなんですが。叙情的であり、哲学的であり、文学的であり・・・そんな村上春樹の世界が、『ハッピーアワー』『寝ても覚めても』などで世界的にも高い評価を受けている濱口竜介監督ならではの丁寧な演出で、見事に表現されている。

淡々としてるけど目が離せない。3時間という長尺でも飽きない
原作未読者も、3時間の尺に退屈さを懸念されている方も、全く問題なく楽しめる作品だ。

 

 

本作の見どころ ②言葉、台詞、そして静寂

一人一人が紡ぎだす言葉、聞かせるための台詞無音・静寂の対比が心地いい!

映画祭に向けて練習をするシーンで、家福と役者たちが吐き出す棒読みの台詞のアンバランス感が面白い。
単に文学的「言葉」が紡がれるだけではなく、そこに役者の演技と無音・静寂の間という映像表現でしか表せない演出が加わることで、叙情的世界がくっきりと浮かび上がっている。

この対比のバランスによって、言葉や台詞がしっかりとした重みと存在感を持って伝わってくるのだ。

 

話は変わるが、本作で演出される「ワーニャ伯父さん」は日本語、韓国語、さらには手話といった言語が使用されている。
どの国のどんな人でも入り込み、考えることができるところに、グローバルな視点の糸口があるように感じる。

 

おわりに

179分、最後の1秒まで観る価値のある映画だ。
とはいえ、去年の 8月公開の映画?もう上映終わっちゃってるよね残念と思っているそこのあなた。
ちょうど全国各地の劇場で1月〜二月にかけてリバイバル上映されますのでご安心を!
(詳しくは(こちら

そして村上春樹の映像作品をもっと観たい!と思ったそこのあなた。
弊社が制作協力として関わった「ノルウェイの森」もよろしくお願いいたします!