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映画レビュー

チャーリーとチョコレート工場〜こどもの夢の全て〜

こんばんは さくらです!先週の金ローのお話でなんですが、できなかった悔しさもありますので、今日は「チャーリーとチョコレート工場」の映画レビューをしたいと思います。

思えばティムバートンの映画を”劇場で”観たのはこれが最初だったかもしれません。
原作への思い入れも深い作品です。

「チャーリーとチョコレート工場」(2018)
日本公開日:2005/9/10
監督:ティム・バートン
キャスト:ジョニー・デップ
フレディ・ハイモア
ヘレナ・ボナム=カーター
ディープ・ロイ

あらすじ

ウィリー・ウォンカのチョコレート工場では、どんな驚きがあなたを待っているのでしょう?チョコレートの部屋ではミント風味の砂糖で出来た草のフィールドを探検し、チョコレートの川を砂糖菓子のボートでセーリング。発明室では食べても減らないキャンディーを体験し、ナッツの部屋では賢いリスたちを観察、そしてガラスのエレベーターでテレビの部屋へ。それはすごく楽しくて、ちょっぴり不思議、そしてウォンカ特製のチョコレート・バーみたいに、とっても美味しい大冒険。ロアルド・ダールの古典的児童書を、監督ティム・バートン、主演ジョニー・デップ&フレディ・ハイモアで映画化。この目も眩むばかりに素晴らしい映画こそが、あなたをめくるめく創造と想像の世界に導く“ゴールデン・チケット”。この甘美なる世界から、一瞬たりとも目が離せない!
WB公式より)

 

 

見どころ ①鮮やかな夢の世界

ティム・バートンの色使いデザインに憧れる人は多いですよね。目にも鮮やかな豊かな色彩暗く青白い陰湿な色彩を一つの作品で見事に使い分け、そのどちらの世界も愛おしく感じさせてくれる印象があります。
チャーリーとチョコレート工場はロアルド・ダール原作で世界的にも有名な児童文学で、すでに1971年に同WBで「夢のチョコレート工場」として映画化されている。こちらも大変よくできてはいるが、やはりより強烈で鮮明なインパクトを残しているのはティム・バートン版ではないだろうか。正直、原作を読んでイメージした想像通りだ!という印象はない。想像を超えている。それがティム・バートン版だ。
歯磨き粉も家も色々なものが可愛くなりすぎてるなという印象さえあったが、ウォンカ氏の若すぎて髭のないデザインにもびっくりしたが、そのデザイン性の高さはやはりさすがだ。これまでに無かった全く新しい「チャーリーとチョコレート工場」を生み出し、世界中に新たなウィリー・ウォンカファンを生み出した。悪質なジョークを引き立てるポップさ、ロマンに溢れた色鮮やかなこどもの世界が作品にも見事にマッチしている。
なんの気もなくなんとなく眺めてしまった人でも、どこかしらのシーンが頭に焼き付いて離れなくなっているのではないだろうか?さくらなどは本作はヘビーユーザーなのであまりにも多くのシーンが焼き付いている。それだけ印象的なシーンや場面が多い。スピルバーグだと、これが「絵」で焼きつくイメージなのだが、ティムバートンはシーンや場面で焼きつく。より時間軸が長いし、そのセットやロケーション、そこに描かれるストーリー、行われる出来事を含めて思い出される。チョコレートの城が溶ける時、最初に手に垂れてくるところであったり、入場を出迎えてくれる人形が炎上していく様であったり、文脈の中でくっきりと浮かび上がる面白さがたくさん散りばめられている。いつもいつも、おもちゃ箱を目の前でひっくり返されたような気持ちになる。あるいは遊園地かもしれない。遊び方もわからないおもちゃ、乗り方もわからない乗り物に囲まれて、ワクワクを募らせるような気持ちだ。
まさにチャーリーの気持ちを体感できる。そんな映画だと感じている。

本作の見どころ ②原作へのアレンジ

先述の通り、原作とは異なる点も多い。映画を観て面白いと感じた原作未読のあなたはぜひ原作も読んでほしい。さくらは子供の頃、こんなに面白い本があったのかと驚いてなんどもなんども読み返した。それだけに、思い入れも深い。
概ねは原作通りだが、所々異なる点もある。先に挙げた入場を出迎える人形なんかも入れれば、細かい指摘はたくさんできるだろうが、最も大きなアレンジについてここでは突っ込もう。
ウィリー・ウォンカ!この人が兎に角全然違う!クエンティン・ブレイクの絵のイメージが強いせいもあるが(それでも地の文にヒゲは出て来たはずだ)、若くて身なりの綺麗な個性的な紳士であるジョニー・デップのウォンカは原作の髭の素敵な親しみやすいお茶目なおじさんのイメージとは大きく異なる!より掴めない、よりタチの悪い、奇妙で不思議な存在になっている。それが見事だと感じる。原作のウォンカ氏は、もう出て来た瞬間からウォンカ氏だ。「そういう人物」なので、読者はそこに疑問も抱かない。ウンパ・ルンパとの出会いなどを通じて過去をわかった気になれてしまう。あくまでも主体はチャーリーそしてチョコレート工場だ。しかしこの映画のウォンカには、ウォンカという魅力がある。強烈なキャラクターだけに、人間味にギャップを感じ、なぜ彼が?と思わせられるような魅力的キャラクターに仕上がっている。そしてその伏線(?)が映画のオリジナル設定として美しく畳まれていく。あの旗の間を歩くシーンは、たくさんの「お気に入りシーン」のうちの一つだ。

 

実写化される際、すでにこちらの頭で完成されているというものがある。大抵の作品がそうだろう。でも、それを本当に観たいだろうか?すでに私の中で完成しているなら、余計にそんなものは見なくて良いのではないだろうか?全てが想像通りではつまらなくないだろうか?改変改悪と声高に言われることが多いが、それはそれ、これはこれ、そのうちに自分の見たかったものを超えるものに出会えるはずだ。と、さくらは信じている。

 

おわりに

そんなティム・バートンが作り上げたウィリー・ウォンカというキャラクターの若かりし頃を「君の名前で僕を呼んで」や「DUNE/砂の惑星」で主演を務めたティモシー・シャラメが演じる「Wonka」という映画が作られることが決まっている。楽しみだ。もはや原作のウォンカじゃないところが面白い。ティム・バートンがそれだけ強烈なイメージを世に放ってしまったということが面白い。
かたやウォンカチョコレートは生産終了してしまった。。。ウォンカチョコをかじりながら新作映画を観たかった。とっても残念だ。再販を強く希望します。