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映画レビュー

スーサイド・スクワッド〜ウィル・スミスはこんな時にも優しいパパ〜

今日は昨日に引き続き「ザ・バットマン」公開記念と称してバットマン以外のゴッサムメンバーの映画をご紹介します。

昨年の夏に2が公開され大きな話題を呼んだ「スーサイド・スクワッド」(2016)をレビューします!

「スーサイド・スクワッド」(2016)
日本公開日:2016/9/10
監督:デヴィッド・エアー
キャスト:ウィル・スミス
ジョナサン・キナマン
マーゴット・ロビー
ジャレッド・レト

あらすじ

世界崩壊の危機に、政府は、服役中の悪党たちによる特殊部隊“スーサイド・スクワッド”を結成。命令に背いたり、任務に失敗したら、自爆装置が作動する、まさにスーサイド(自殺)な状況の中、愛するジョーカーのことしか頭にないハーレイ・クインと、正義感も団結力もない寄せ集めの10人の悪党たちは、一体どんな戦いを魅せるのか?
WB公式より)

 

 

見どころ ①キャラクター造形

何と言ってもハーレイ・クイーンの圧倒的キャラクター力。ハーレイ・クイーンはあくまでアニメやコミックのキャラクターであり、実写化は今作が初めて。特にそのアニメやコミックがあまり人気の高くない日本においては、「ハーレイ・クイーン」というキャラクターのお披露目映画でもあったと言える。本作で初めてハーレイちゃんに出会ったファンも多いはずだ。そう言い切れるのが、彼女がおそらくご新規さんを大量に取り込んだ要因になっていると考えられるからだ。
なんだかんだお堅い(?)印象の強い洋画の、アメコミ、しかも DC!当時は「ジャスティス・リーグ」も「アクアマン」もない頃。いわゆる「そういうのが好きな人」のための映画なんでしょ?と思われがちだったんじゃないでしょうか?ハーレイちゃんの凄まじさは、そんな殻をぶち破った圧倒的キャラクターの吸引力があったところだ。
私もてっきりアニメの印象が強かったために(ハーレイちゃんはコミックスではなくアニメ出身)、えっあの全身スーツのヤバい格好?という変な期待をし、本編で一瞬報われてふふっとなったのですが、ピエロ姿のアニメデザインでももちろんゲームデザインでもなく、ブロンドを晒した美女、しかも超絶ファッショナブルでキュート!というこれ以上ない素晴らしいハーレイちゃんを生み出してくれた。彼女の造形はマーゴット・ロビーの演技、表情の全ても含め、刺青の一つ一つ、スニーカー型ハイヒール、バット、首輪、言動、全てが緻密に作られており、その爆裂な”楽しさ”はぜひパンフかWEBの記事を読んでみていただきたい。展示会のたびに必ずと言って良いほどこの衣装は日本にやってくるので、機会のある方はぜひみていただきたい。(今もまだDC展で日本で公開されています。)
とにかく、見た目が最高に「かわいい」。まさに”ヒロイン“というツインテールは金髪で左右の色が青と赤というカラフルさ。(赤黒じゃないんだ?!と驚いた。)それでいてメンヘラでヴィランサイドでぐずぐずに男に惚れていて空気の読めない痛い子キャラで、パッションにあふれていて一緒にいると楽しそうな、みていて最高にかわいい女の子なのだ。断言しても良いほど、こと日本では、時代にフィットしたキャラクターだったのではと今になって思う。様々な面で痛い自分を肯定できちゃうキャラで、大人向けのキャラクターにも関わらず、堂々とツインテールをして短パンを履いた妙に子どもっぽいあどけなさを残していて、年とともに「かわいいは卒業」という世間の風潮に逆行する彼女の姿は、当時の少なくとも日本の女の子の心に強く共感、または憧れを持たせ、「かわいい」センサーを激しく揺さぶられるものであった。はずだ。6年前のことなので記憶に新しいという人が多いとは思うが、このブログがいずれ遺跡になった時の文献資料として残すとすると、この年のハロウィンはほとんど「誰もが」と言って良いほどにとにかく「誰もが」彼女のコスプレをしてインスタにあげていたし、街を歩いていたし、多くの芸能人もSNSに投稿して話題になっていた。カップルなら男はジョーカーをやっていた。公開時期がハロウィンまで二ヶ月と近かったのも良かったのかもしれない。その年の東京コミックコンベンション通称東京コミコンでも非常に多くのハーレイちゃんを見た。この場合、シンボリックな武器が先の尖っていないバットだったのも大きいかもしれない。こんなにもハロウィンのコスプレが被った年は音にも先にもこの年しか私には思い出せないほど、圧倒的な流行、モードを掴んでいた。
それほどまでにシンボリックな存在として君臨したのが”この”「ハーレイ・クイーン」なのだ。

本作の見どころ ②音楽

曲のセンスが抜群だというのは、誰もが予告編で気づいたことだろう。記憶が定かではないが、公開前から劇中歌のサントラがYoutubeに上がっていたように思う。続編(ハーレイちゃんの単独映画の方ではない)でもジェームズ・ガン監督のプレイリストが公開され話題になっていたが、この1作目からしてとにかく曲のセンスが凄まじくかっこいい。リミックスされたクラブミュージックがいずれも最高なのだ。まさにカラフルな夜の街悪い子たちのための祭典、そんな印象を受ける。ハーレイちゃんにぴったりな「I need gangstar」は特にお気に入りだが、公開直後から話題になっていた本作の主題歌「purple lamborghini」も最高にかっこいい。SkrillexとRick Rossという最強のアーティストがタッグを組んだ超名盤で、作品の体現する「悪くてかっこいい」奴らにぴったりだ。
映画を観終わった後は、いや見る前から、サントラの鬼リピが止まらなかった作品はこれと「ボラプ」ぐらいだっただろう・・・。

 

おわりに

映画本編の内容とは別のところでこの作品について高く評価したい点は、凄まじい宣伝の力だったと思う。かっこいいとは言い切れないが、「今アメリカで最もバズっている映画」というキャッチコピーはキャッチーであったし、さくらなどは疎すぎてこのキャッチコピーで初めて「バズる」という単語を学んだという点でも非常に鮮明に記憶にある。つまりそれほどに若者言葉を使い慣れている「若年層」にターゲットを当てていることが明白であり、実際先述の通りハロウィンコスプレをするような若年層に本作のハーレイちゃんやファッションは強く響いていた。さらに六本木では大きな展示を開きファンに無料開放する、ポスターを配布するなど、映画館のロビー以外で映画館周辺の「街」での盛り上げも、映画公開前からファンの期待を煽るのに抜群に効果を発揮した。
加えて、何と言っても繰り返しかけられていた予告編のクオリティの高さ。Queenno「ボヘミアン・ラプソディ」のメロディに合わせて薄暗い獄中に優雅な囚人たちの姿はシックでダークながらに、ハイレベルなエンタメを見せてくれる!という印象でハートを鷲掴みにされた。

さておき、この一作目を観ていまいちはまらなかった人でも続編だけはどうしても観て欲しい。監督が変わったことにより、さらに印象がガラリと変わる。あと「ハーレイ・クインの華麗なる逆襲 バーズ・オブ・プレイ」も観て欲しい。ああっ言いたいことが溢れて止まらない。これらはぜひレビューをさせてもらいたい作品群だ。本作を見てなくても全て楽しめるが、ぜひ、ぜひ見てください!