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映画レビュー

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム〜史上最高のヒーロー〜

ヒルズです。
これほどまで、公開を待ち望んだ映画はなかったかもしれない。
日付変わって、公開初日の0時からの最速上映に参加してきた自分は終電も無く、事実上の「ノー・ウェイ・ホーム」となったが、後悔はない。

「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」
日本公開日:2022/1/7
監督:ジョン・ワッツ
キャスト:トム・ホランド
ゼンデイヤ
ベネディクト・カンバーバッチ

本作「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」はMCU(マーベルシネマティックユニバース)27作目となり、ホームシリーズ3作目の完結編にあたる。スパイダーマンシリーズ史上、MCU史上、ヒーロー映画史上、これほどまで完成度と満足度が高い作品は他にはない。
ネタバレ厳禁な内容な為、あまり多くは語れないのが残念だ。

あらすじ

前作、ミステリオの策略にはまり、英雄ミステリオを殺害した犯人だと実名報道されてしまったピーター・パーカーは、魔術師のドクター・ストレンジの助力してもらおうと思い、魔術でスパイダーマンの正体がピーター・パーカーだと知られていない世界にしてもらおうとする。魔術の失敗でマルチユニバースの扉が開き、様々なヴィランがスパイダーマンの元に襲い掛かることとなってしまう。

見どころの前に〜スパイダーマンシリーズの振り返り〜

サム・ライミ版「スパイダーマン」(2002年公開)から20年。当時、小学生だった自分が誕生日のお祝いで祖母が映画館に連れて行ってくれたことを思い出す。
当時は吹き替えだと思っていた上映が、字幕上映で駄々をこねたが、本編を見終わって「なんて面白い映画なんだ!」と、子どもながらに興奮したのを覚えている。

以降、制作されたスパイダーマン映画が、トビー・マグワイア主演、サム・ライミ監督のスパイダーマンが3作。
アンドリュー・ガーフィールド主演、マーク・ウェブ監督のアメイジング・スパイダーマン2作。
MCUで制作されたトム・ホランド主演、ジョン・ワッツ監督のホームシリーズのスパイダーマン3作(本作ノー・ウェイ・ホーム含め)。
計8本が制作された。

個人的に2大ヒーロー映画といえば、ノーラン監督の「ダークナイト」と、サム・ライミ監督の「スパイダーマン2」が不動であったが、ここで初めて3大ヒーロー映画と広げさせてほしい、なぜなら本作「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」がランクインしたからだ。

本作の見どころ ①原点回帰!スパイダーマンのテーマ

「大いなる力には、大いなる責任が伴う」
スパイダーマンシリーズには一貫して、このテーマが掲げられていた。サム・ライミ監督の1作目で、ピーターの叔父、ベンが死ぬ間際にピーターに遺した台詞である。これは原作と同様の再現シーンとなっており、スパイダーマンの根底のテーマとなっていた。

巨大な力を手に入れた者には、それ相応の責任が伴うのだ。スパイダーマンは正義の行いでその責任を全うしたが、ヴィラン達は責任を放棄し、私利私欲の為に悪事を働く。
そう、ヴィラン達はスパイダーマンがなっていたかもしれない別の姿なのだ。

ホームシリーズは前作と比べると、このテーマがやや不明瞭ではあったが、作風的にまだヒーローとして未熟なピーター・パーカーが成長していく物語であったので仕方がないと云えよう。しかし本作は本当の意味で、このテーマに真正面から向き合ったのだ。このテーマに直面するピーターのシーンは何度も号泣してしまった。

本作の見どころ ②顔見知りのヴィランズ達

本作、ヴィランとして登場するドクター・オクトパス、グリーン・ゴブリン、エレクトロ、サンドマン、リザード前シリーズから役者が続投するといった、ファンには嬉しい要素がある。ただのファンサービスに留まらず、しっかりと役割が与えられている。特にドクター・オクトパス役のアルフレッド・モリーナと、グリーン・ゴブリン役のウィレム・デフォーは本当に素晴らしい演技を見せてくれた。20年ぶりのグリーン・ゴブリンを演じたウィレム・デフォーは前作よりも怪演していたと思う。あの不気味な高笑いが耳から離れない。

おわりに

全てのシーンがエモーショナルであり、サプライズばかりの本作。始まりから終わりまで興奮しっぱなしの2時間半、アクションに熱狂し、キャラクターの掛け合いに何度も笑わせられ、要所要所で観客からの拍手や歓声が何度もおこる幸福で奇跡のような時間だった。

「大いなる力には、大いなる責任が伴う」つまり自己犠牲精神論、ヒーローの本質を突いた本作なのだ。そんな大きなテーマに、救済というテーマもあり、本作を見た方なら分かってくれると思う。

是非とも前作のスパイダーマンシリーズは予習しておくのをお勧めする。ネタバレ回避のため、この連休で見て頂くのがベストであろう。