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映画レビュー

ザ・バットマン〜暗きより、暗き道にぞ・・・〜

ヒルズさんのレビューをお待ちいただいていた皆様申し訳ございません。
待ちきれなくなってしまったのでさくらが「ザ・バットマン」のレビューを書かせていただきます。

公開前から大変な話題作でしたが、正直期待を裏切らない作品でした。

「ザ・バットマン」(2022)
日本公開日:2022/3/11
監督:マット・リーブス
キャスト:ロバート・パティンソン
コリン・ファレル
ポール・ダノ
ゾーイ・クラヴィッツ

あらすじ

優しくもミステリアスな青年ブルース。
両親殺害の復讐を誓い、開くと敵対する存在”バットマン”になって2年が過ぎた。
ある日、権力者を標的とした連続殺人事件が発生。
犯人を名乗るリドラーは、犯行の際に必ず”なぞなぞ”を残していく。
警察や世界一の名探偵でもあるブルースを挑発する
史上最狂の知能犯リドラーが残した最後のメッセージは____
「次の犠牲者はバットマン」。
社会や人間が隠してきた嘘を暴き、世界を恐怖に陥れるリドラーを前に、
ブルースの良心は狂気に変貌していく。
リドラーが犯行を繰り返す目的とはいったい___?
「ザ・バットマン」公式より)

 

 

見どころ ①”バットマン”

想像よりもはるかに画は暗いのですが、想像よりもはるかに超王道のどエンタメで最高に楽しかったです!尖りきった作品だったらどうしようと思っていたのですが、ちゃんとしたワクワクドキドキのクライムサスペンスでした。映像は暗いですが、ストーリーは恐れていたほど暗いものではなく、誰もが楽しめるものだったと思います。
何がこんなにも刺さったかというと、やはり”バットマン“ですよ。クライマックスでさくらは確信しました。このバットマンが歴代バットマンで正直一番好きです。
これまでのバットマンは、すでにバットマンだったんです。達観していてクールでタフでとにかくクレイジーなほどにストイックで。「バットマン」という完成された存在で、だからこそ主人公でありながらキャラクターとしての深みはあまり感じられず、ヴィランに持ってかれがちだったように思います。もちろん、背負うものは常に同じなのですが。
今作はなぜタイトルが「ザ・バットマン」なんだろうかと見る前は疑問でした。「ダークナイト」のようにサブタイトルを付ければ良いのに、なぜ?と。観て分かりました。これは紛れもなく、正真正銘、そして史上初の「バットマン」の映画です。ストーリーや画作りも見事ではありますが、この作品においてはるかに意味深いのは「バットマン」であろうともがくブルース!これまで観てきたバットマンは全てバットマンではなく珍奇なヴィランやその戦いや、重厚なストーリーを見てきたんであって、自分は一度も「バットマン」を見てなかったんだ!とさえ思いました。正確にはレゴ・バットマンはバットマンの不完全な内面を描いているという点で近いのですが、今作はその理想たる「バットマン」に至るまでのあがきのようなものを感じます。
とにかく見事なのがロバート・パティンソン氏の演技。正直トワイライトシリーズやハリー・ポッターシリーズでは魅力を感じなかった。突如異変が起こったのは一昨年公開の映画「TENNET」だ。えっかっこいいじゃないか。とってもかっこいい。でもまだ耐えられるかっこよさ。それが今作ではもう耐えられないかっこよさまで昇華していた。かっこいいだけではない、かわいいも怖いも全てある。受け止めきれない。お手上げ。降参。参りました。こんなに多彩な方とはつゆ知らず。これまでもったいないことをしたと思いました。とりあえずトワイライトシリーズをちゃんとみようと誓って劇場を出ました。
タフでクールでクレイジーなバットマン、を、必死に自分に課しているまだ幼い子供(の精神のまま体ばかりが大人になってしまった青年)の顔、言動が実にお見事。胸が苦しくなりました。アルフレッドやキャットとの関わり方に現れる全てがあまりにも見事なバットマン造形で、私はすっかり撃ち抜かれてしまいました。その分キャットやリドラーの造形には首を捻る解釈もあったのですが、主人公のバットマンの造形の魅力がはるかに上回るので、素晴らしい映画だと思います。

本作の見どころ ②あっという間の3時間

正直、こんなに盛りだくさんとは思いませんでした。ネタバレを避けていたので。あの人もあの人も出てくる!繋がってる!繋がっていく!こんなに盛りだくさんでいいのかしら?と思うほど盛りだくさん。3時間にも納得です。
3時間3時間と思って覚悟していたのですが、中だるみみたいなものは全くありません。謎はいつから名探偵になったのかわからないのですが名探偵らしいバットマンが実に目にも留まらぬ速さ、文字通りの意味のあっという間で解いていきますし、キャットも今回は非常に協力的。えっ一体どこでいつのまに何をしていて3時間経っていたの?!という不思議体験でした。思い返してもずっと物語は動いていてテンポが良く、間延びした場面はありません。
特にクライマックス、リドラーの正体が明かされてからはもうノンストップの面白さです。この辺り、この直前あたりから、バットマンの魅力が跳ね上がっていき、クライマックスの、あの、あのシーンでは、叫びたくなるほどの強い感動を味わいました。一瞬突然の行動に、「何のために?」と考えてしまうんですが、次の瞬間から一気にその行動の持つ意味、目的がくっきりと理解できてしまい、たまらない気持ちになります。、ブルース・ウェインがこれまで背負ってきた出生、生い立ち、家、家族、街、全てとの繋がりが、彼を「バットマン」にしていて、そんな彼の選択があまりにも美しくて、凝縮された一瞬に息を飲みます。
ネタバレありでいつかお話ししたいですね。これ。しんどいです。
ちなみに今回のセリフMVPはラストのあの人のあの「なぞなぞ」です。本当に恐ろしい男です。は〜大好き。

 

おわりに

ネタバレを極力避けて観に行ったのですが、大正解でした。想像よりはるかに、いろんな面で盛りだくさんで、、はるかに王道エンタメで、、はるかに魅力的なバットマンが観られます!言いたいことがいくらでもほとばしっちゃうような素晴らしく楽しい映画です。
3時間という長い作品ですが、観終わってからずっと、もう一回観たいといううずうずが止まりません地上波でやる時が来てもカットされまくりと思うと、絶対に劇場で見ておきたい作品です。もう一点懸念されるのは、、画面の暗さです。これもTVで視聴するのに不向きな最大の要因なので、、是非是非劇場公開で観ておくことを強くお勧めします!