ゴーストバスターズ（2016）〜侮るなかれ、リブート版〜

よく「女性版」ゴーストバスターズと巷で呼ばれる本作。
おそらく単純にこの映画を再生した回数では、私は日本ではトップ100には入れるだろうと思うぐらいに何度も何度も見てきた。
頭を空っぽにして、無限ループで見ていられる映画だ。テンポよく、1秒も「つまらない」シーンがない。薬物的中毒性のある映画だと言える。

さておき、「女性版」には偏見がつきまとったのではないかと思う。「オーシャンズ8」も良い作品だが、一部からはそうした男主人公の作品をリブートで女性化することに強い批判が寄せられることがある。正直、私はあまりこれらに関してはこだわりのないたちだったので、平然と見た。
女性になったからといって彼女たちは特別イケている訳でもなく、バスターズの衣装もツナギのまま、友達の少ない化学オタク。これといって「女性」であることが強く押し出された作品ではない。そこがとても好ましい。
お色気シーンはもちろんのこと、メイクシーンやおしゃれに気をつかう場面、ヒステリーになる場面、恋愛で頭がいっぱいな姿、群れて誰かの陰口を言う場面、これまで「女性」につきまとってきたあらゆるステレオタイプが、物の見事に一つも入っていない。女の子のリアルがそこにある。リアルであり、たくましく、媚びず、強く、世界を楽しむ彼女たちは女の子の理想でもある。こんな「女の子」の映画がずっと観たかった！
「女の子」の映画と言うと常に過剰に女性性や男性の理想が押し付けられがちなイメージがあるが、彼女たちは違う。ようやく「男の子」たちと変わらない、フラットな性別で描かれた！きっと彼女たちがギャルであってもやっぱり変わらず本作が好きだった自信はある。正直この素晴らしい作品の数多ある魅力からすれば、取るに足りないほど些細なことだ。でも、ちょっと感動したので紹介させてもらった。
エリンがくらっときてしまうイケメンもいるが、とんでもなくバカという設定。「美人だけどバカ」な秘書というステレオタイプへの皮肉と考えられ、エリンの態度もその程度に抑えられている。本当は色々とジェンダーについて挑戦した作品なのかもしれない。ゴーストバスターズのメンバーの一人ホルツマンを演じたケイト・マッキノンは本作でめちゃめちゃかっこよく、公開当時多くの女性のハートを鷲掴みにしたが、彼女はレズビアンを公表している俳優でもある。でも別にそれに触れるわけではない。とにかくあらゆる点で性別が「フラット」な作品なのだ。