イカゲーム〜世界中が456億ウォンの価値を調べた〜
済州島でモヒートを飲みたいさくらです。
タイトルの〜はさくらに「イカゲーム」を勧めてくれた方の口説き文句でした。作中のゲームの壮大さと、今この作品がどれだけの規模で流行っているのかを一言で伝えつつ更に「幾らなの?!」と思わせて興味を惹くという巧妙な手口にころりと引っかかり、週末を賭して全話観てしまいました。
そこで今日は「イカゲーム」のレビューをお届けします!
いつもどおりネタバレなしなのでまだ観てない方もご安心ください!
「イカゲーム」 日本公開日:2021/9/17 監督:ファン・ドンヒョク キャスト:イ・ジョンジェ パク・ヘス チョン・ホヨン |
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あらすじ
勝てば天国、負ければ…即死。賞金に目がくらみ、奇妙なゲームへの招待を受けた参加者たちを待っていたのは、昔ながらの遊びを取り入れた死のゲームだった。(Netflixより)
本作の見どころ ①キャラクターの魅力
主人公のソン・ギフンは大の競馬好きで妻や娘とも別れて母と二人暮らし。彼がとにかく情けない。見ていて本当にため息が出るほど残念な男で、彼が主人公で本当に応援できるのかと不安になる程。借金取りに追われ、母に呆れられ、元妻に怒られ、娘に憐れまれ…そんな彼ですが、いざゲームが始まると彼のひ弱ながらに懸命に足掻く人間臭さがとびきり魅力的に映ります。
というのも、ゲームに集められたのはどのみち待ち受けるものが同じというところまで追い詰められた人ばかり。クセモノばかりが集まっています。そんなクセモノたちの中で、ギフンさんは一貫して臆病で、利己的で、人に頼り、そのくせ威張りたがるようなまさに「小物」でありながら、異常な空間の中で終始人間的道徳観を持ち続け、そのために怯えすくみながらも懸命に人に手を差し伸べるのです。かっこいい。情けないおじさんがだんだんかっこよく見えてきた。と思うと次の瞬間にはまた姑息な姿を垣間見せる。見事なキャラクター設計です。
また、ギフンさん含む様々なクセモノ、キワモノたちの最大の魅力は、彼らがここに至るまでのバックストーリーでもあります。彼らの背負うものの重みは、まさに韓国が抱える社会的問題を体現しており、この作品が世界に向けて放つ大きな意義の1つです。ストーリーが進むにつれ、ぽろりぽろりと零される彼らの苦しみが募るほど、視聴者もゲームにのめり込んでいってしまうのです。
そしてゲームを更に熱くさせるのが彼らの友情、共闘関係です。チーム戦の白熱する駆け引きもあれば、人と人の熱い心の触れ合いといったものがゲームを盛り上げます。気づけばいつの間にか登場人物たちに惹きこまれ、応援している。一人一人の背負うドラマが丁寧に描かれた作品だからこそ、視聴者もただの傍観者ではいられなくなる凄みがあるのです。
本作の見どころ ②美術の豪華さ&可愛さ
「イカゲーム」を見てとても気になるのが美術の豪華さです。デザイン性の高さもさることながら、にわかには信じがたい世界のリアリティを支えるのが実際に作られたという巨大なセットや美術の数々。荒唐無稽なゲームの設定に現実的な質感を与え、作品の奥行きを更に深めているのです。
そして先述の通り、デザイン性が全てとっても高いんです。かの有名なマスクだけでなく、施設の随所に置かれた丸三角四角のシンプルで可愛いデザインが目を惹きます。そして色もショッキングピンク、水色、ライムグリーンなど、ちょっとどぎついほどに「かわいい」デザイン。”こどもたちのゲーム”を大人が命がけでやるという悪質なジョークのような状況に、更に輪をかける悪質さが際立ちます。現実味がないほど底抜けに明るく、まさに”まるで悪夢の中にいるかのような”といったポップさが、そこで流される血のグロテスクさを更に効果的に演出しています。
さらに、そんな可愛い画面でありながら不吉な予感をさせる不穏なメロディや、ゲームの際に流れる気の抜けたおもちゃのような音楽など、音楽もこの不可思議な世界観の演出に深く関わっています。
隙のない作り込まれた世界の演出。さくらは「イカゲーム」の大きな魅力の1つだと思います。
本作の見どころ ③誰にでも分かるゲームのシンプルさ
デザイン性についてもしかり、「イカゲーム」の持つ魅力のうちの1つは、何と言ってもそのシンプルさ。ストーリーもゲームも、小学生からおじいちゃんまで、誰が見ても疑問を感じて作品の手が止まる隙が一切ないのです。よってながら見でもしっかりはまりこんでしまう上に、考えるものが少ないのでゲーム展開や登場人物の一人一人に白熱することができます。また、頭が疲れるような展開もないので一話1時間があっという間に過ぎていき、さくさく見れてしまうのです。
終わりに
さて、イカゲームをご鑑賞された皆様、これから鑑賞の予定のある皆様、楽映舎制作映画「神さまの言うとおり」という作品をご存知でしょうか?
実は「イカゲーム」の冒頭がこの映画に似ていると密かに話題になっています。この機会に観た方も観ていない方もぜひ一度、見比べてみてはいかがでしょうか?