【映画制作】〜1day仕事体験5/7日目〜 企画、脚本、予告について
さくらです!今日はインターンシップのまとめ第五弾として、”企画、脚本について”と”予告について”をお伝えします。
企画、脚本についてはこれまでにも「プロデューサーについて」「映画制作の流れについて」「映画の様々な仕事について」でもお話ししてきましたが、これまでとは違う視点で改めて詳細をご紹介しようと思います。
映画基礎講座 1day仕事体験 企画、脚本について 予告について |
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企画、脚本について
企画
「映画制作の流れについて」「映画の様々な仕事について」でも、企画の重要性についてお話ししてきました。企画は、映画の種であり、その根幹です。
ここでは、映画の企画書の書き方についてお話しします。
企画書を書く最大の目的は、原作がある場合は原作権の使用許可を得ること、また出資者を募ることです。
企画書と企画者のプレゼンが企画成立の要となります。
企画書に乗せる最も基礎的な内容は以下の通りです。
・企画意図
・作品概要
・プロデューサー、監督
・イメージキャスト
・プロットもしくはショートストーリー
この他に、複雑な場合は人物相関図をつけることや、製作費、制作スケジュール、宣伝配給プロダクション、公開予定日などの入った企画概要を付ける場合もあり、これといって決まったフォーマットがあるわけではありません。
企画書の中でも特に大切なのは「企画意図」です。
作品と訴えたいテーマに対し、どれだけ真剣に想いを乗せられるかが重要です。企画者の熱意が実際に一本の映画を生み出すきっかけになることもあります。
「なぜ今」それを映像化する意義があるのか、何がその作品の売りどころとなるのか、なぜそれが観客にウケると思われるのかを明確かつ簡潔に伝えられなければなりません。
ここで言う”作品の売りどころ”とは、お話の話題性や面白さ、斬新さだけではありません。例えば監督やキャスティングは重要な要素の一つです。また、様々な撮り方の工夫、新しい挑戦性など、様々なことが作品の売りになります。原作者や出資者が作品を「観たい」と思わせられるような強みをプレゼンできることが大切です。
脚本
「映画制作の流れについて」「映画の様々な仕事について」でも、脚本について簡単にご紹介してきました。
ここでは、脚本の構成や読み方について書いていきます。
脚本の構成
映画の脚本を開くと、まず前付けという色付きのページがあります。ここに、製作、制作プロダクション、制作協力、配給、原作、プロデューサー、ラインプロデューサー、脚本、音楽、監督らが載ります。
色ページの次に載るのはスタッフです。撮影、照明、美術、録音、装飾、編集、衣裳、VFX、助監督、キャスティング・・・とそれぞれメインスタッフの名前が載ります。
助手や応援、アシスタントや、制作現場に大きく関わることのない宣伝などのスタッフは、メインスタッフの紹介の後に入ります。
全スタッフの後にようやくキャストが紹介されます。主役から載り、役やキャストの重要度に合わせてスペースが広く取られます。キャストにとって大切なのは、名前の並び順です。名前の並びの一番”最後(トリ)”には、主演の次に重要なキャストが載ります。
色ページ、スタッフ・キャスト紹介の後に、ようやくストーリーが始まります。
ここは上に余白が設けられており、スタッフが撮影時にメモを書き込めるようになっています。
1ページ内に入る行数、行の中の字数には決まりがあり、概ねの目安として、1ページが映像にするとだいたい1分と考えて計算します。
ちなみに、映画の脚本は公開前の情報漏洩を防ぐため、原則全て非売品です。また、公開後にネットオークションで売られることもあり、転売防止のために近年の脚本はすべてナンバー入りとなっております。
脚本の読み方
脚本は以下の3つで構成されています。
・”場面””場所”を示す「柱」
・登場人物や景物の動き、内容についてを説明する「ト書き」
・キャラクターの「セリフ」
3つの中で最も作品にとって大切になるのが「セリフ」です。脚本家にとっては、キャラクターをリアルに想像し、キャラに当て書きしてセリフを考えるというのは最も楽しい作業でもあります。
しかし、制作部や準備スタッフが脚本を読む時に注目するのは、ロケーションやセットの要となる「柱」そして「ト書き」に書かれた人物と画に映る小道具、大道具、車両や天候、火や煙などの特殊効果です。脚本から映画の制作費を概算したり、必要なものを揃えるなどの諸準備を進めていきます。
このため、映像をイメージしにくい抽象的な表現や比喩表現、過度な形容詞や心理描写は邦画の脚本にはほとんど入りません。ここは小説と大きく異なるところです。
予告について
予告
映画には必ず「予告編」と言うものがあります。
映画のあらましを伝えるだけでなくそこに視聴者の気を引くポイント、見どころを入れ、予告を観た人が本編を「観たい」と思ってくれることが大事です。また、何と言ってもその映画のイメージを多くの人に伝えることが重要です。そのため、予告だけで観た気になれてしまうような「ダイジェスト」になってしまってはいけません。つまり、流す情報が多すぎてもいけないのです。
ところで、「予告」や「トレーラー」と言ったものに並んで、「特報」という単語を聞くことはありませんか?
たとえば、映画「土竜の唄 FINAL」では
という”超特報”と、
という”予告”がありました。
観ていただければお気付きの通り、「特報」は映画本編の映像情報があまり多くありません。
作品が完成してから制作される「予告」とは異なり、「特報」は映画”撮影中“から作られる告知宣伝映像です。そのため、尺が短いだけでなく、このように僅かな本編映像よりも文字情報が目立つといった違いがあります。これにより、度々「特報」で観たはずの映像が本編からなくなっていた!という指摘がされることもあります。また、特報はTVなどで流れることはありません。原則、映画館で初めて流される劇場宣伝用です。(Youtubeに後日流されるケースも多いです。)
また、予告も特報も、第一弾第二弾と複数作られることが多いです。(予算の少ない映画は逆に特報は作られない場合もあります。)
映画公開に向け、少しでも多くのお客さんの関心を引き、長く見てもらうことで作品を認知してもらうために「特報」や「予告」を次々公開していくのです。
おわりに
企画、脚本、予告、特報について、興味を持っていただけたでしょうか?
撮影現場以外の場所で、映画に対してどのような工夫がなされているか、一本の映画が作られることがどれだけ大変な熱量に動かされているかということが、少しでもわかっていただけたら幸いです。
苦しい時、悲しい時、嬉しい時、楽しい時、寄り添ってくれる物語によって人は生かされます。人に寄り添う映画というものは、いつまでも心にも残り続けるものです。
「0/7 プログラム」
「1/7 プロデューサーについて」
「2/7 映画制作の流れについて」
「3/7 楽映舎について」
「4/7 映画の様々な仕事について」
「5/7 企画、脚本、予告について」
「6/7 制作現場について」
「7/7 映画の見方、映画祭について」